2020年6月3日水曜日

面会交流の事例検討(審判に対する抗告事件)その4

子供と離れて暮らす父親が、子供との面会交流を求めて面会交流の調停を申し立て、家庭裁判所で面会交流を認める審判を得ましたが、母親側が不服として抗告し、高等裁判所が決定をした事例(平成30年11月20日東京高等裁判所決定)の検討の4回目です。

1回目は、面会交流の重要性や意義
2回目は、頻度の時間についての判断
3回目は、立ち合いの可否や方法についての判断
を検討しました。
今回は、曜日や時間、引渡方法、代替日の決め方についての判断を検討します。

面会交流を具体的にどのような方法で実施するのかについては、その時々のスケジュール、子供の体調、天候など様々な事情を踏まえつつ、父と母が協議をして定める方法を取るのが、本来は、双方にとって、望ましいと言えます。

しかし、当事者間の対立が強ったり、不信感が強かったりする場合もあります。
そうしたケースでは、現実的に、当事者間で協議をすることが難しかったり、協議をしてもまとまらないことが起こりえます。

この裁判例でもそうした懸念に対する判断がなされました。
前記認定した過去の経緯や本件における抗告人の主張からすると、抗告人の相手方に対する不信感が強いことがうかがわれ、当事者間の協議により定めるべき事項について協議が調わないことが懸念されるから、面会交流の確実な実施のためには、面会交流の曜日や時間、引渡方法、代替日は、第1次的には当事者の協議によることとするが、協議が調わない場合についても定めておくこととする。」

つまり、第一次的には当事者の協議によるけれども、協議が調わない場合の方法も定めることとする、とされています。

具体的には、例えば、面会交流の時間については、
各回の面会交流時間 5時間とし、具体的な時間帯は当事者間の協議により定める。ただし、当事者間の協議が調わない場合は、午前10時から午後3時までとする。」
との判断がなされました。

協議が調わなかったために面会交流が実施できなくなるという結果を避けるため、協議が調わない場合の具体的な実施方法についても、第二次的に、定められています。

面会交流の重要性にかんがみて、できるだけ確実に面会交流が実施されるように、という考えが下地にあると言えるでしょう。