2020年5月20日水曜日

面会交流の事例検討(審判に対する抗告事件)その1

面会交流は、離れていても子供に会いたい親の願いの切実さと、面会交流への不安を抱える親の対立などがあり、困難事例が多い分野です。裁判例も多くあります。

子供と離れて暮らす父親が、子供との面会交流を求めて面会交流の調停を申し立て、家庭裁判所で面会交流を認める審判を得ましたが、母親側が不服として抗告し、高等裁判所が決定をした事例(平成30年11月20日東京高等裁判所決定)を検討します。

いろいろなファクターについて審理検討されているので、何回かに分けて解説します。

まずは、面会交流の意義や重要性についての判断部分です。

父母が別居しても,子にとっては親であることには変わりはなく、非監護親からの愛情も感じられることが子の健全な成長のために重要であり、非監護親と子との面会交流が実現することにより、別居等による子の喪失感等が軽減されることが期待できるから、子の福祉に反しない限り、非監護親と子との面会交流は認められるべきである。」

「面会交流の可否については、非監護親と子との関係、子の心身の状況、子の意向及び心情、監護親と非監護親との関係その他子をめぐる一切の事情を考慮した上で、子の利益を最も優先して判断すべきである」


改正後の民法766条(平成24年4月1日施行)は、父母が協議上の離婚をするときに協議で定める「子の監護について必要な事項」の具体例として「父又は母と子との面会及びその他の交流」(面会交流)及び「子の監護に要する費用の分担」(養育費の分担)を明示し、子の監護について必要な事項を定めるに当たっては子の利益を最も優先して考慮しなければならないと明記しました。


面会交流についての法務省のリーフレットをご紹介します。(http://www.moj.go.jp/content/000096597.pdf
面会交流の意義や子どものための面会交流の実施について書かれています。