2020年5月25日月曜日

面会交流の事例検討(審判に対する抗告事件)その2

子供と離れて暮らす父親が、子供との面会交流を求めて面会交流の調停を申し立て、家庭裁判所で面会交流を認める審判を得ましたが、母親側が不服として抗告し、高等裁判所が決定をした事例(平成30年11月20日東京高等裁判所決定)の検討の2回目です。

前回は面会交流の意義や重要性についての判断部分を紹介しました。

面会交流が重要であるのは当然として、では、具体的に、当該ケースにおいて、どのように実施していくのかというところは、監護親と非監護親で意見が分かれることが多いものです。
この裁判例でも調停で折り合いがつかず、審判、抗告審へと進んでいます。

今回は、頻度や時間についての高等裁判所の判断部分を紹介します。

頻度:月に1回
時間:各回5時間
との判断がなされました。

このケースでは、それまで月に1回、2時間程度で(数回)実施されていました。

この点、抗告審は、「概ね月に1回、2時間程度の頻度で数回行われた面会交流において、対未成年者との関係において問題が見受けられず、良好に実施されたことからすると、月に1回の面会交流とするが、未成年者がより自由に相手方と面会できるよう、1回あたりの時間を長くすることが相当である。」
として、面会交流の実績にかんがみて、1回あたりの時間を長くすることが相当との判断なされました。

また、場所については、それまでは妻側の代理人弁護士の事務所での実施でしたが、
「面会交流の際に、未成年者が非監護親との交流を楽しみ、のびのびと過ごすためには、実施場所について限定することは相当ではない。」
と判断しました。

ケースによって事情は異なるでしょうし、また、月に1回5時間の交流が十分といえるかは議論があるところでしょう。
とはいえ、子供がより自由に面会できるように、交流を楽しみ、のびのびと過ごせるようにと、子供の利益を優先する考えが示されており、それが重要であることは確かです。