2020年4月28日火曜日

民法(債権法)が変わります その2・保証人の保護

2020年4月1日から改正された民法(債権法)が施行されています。

今回は「保証人の保護を進めるための改正」についてお書きします。

保証人になったことで多額の債務を負うことになってしまった、というような話を耳にしたことがあると思います。保証人になるときには注意しなければ、と思っている方も多いでしょう。

しかし、実際には、会社が事業資金の借り入れをする場合、個人を保証人としてつけることを金融機関から求められることが多く、経営者の親族や友人が頼まれて保証人になっていることも少なくありません。
アパートを借りるときの保証人などもイメージしやすいかもしれません。

改正法は、個人が保証人になる場合の保証人の保護を進めるために、いくつかの改正をしました。


まず、極度額の定めのない個人の根保証契約は無効となりました。

根保証契約とは、一定の範囲に属する不特定の債務をまとめて保証する契約をいいますが、不特定の債務を保証することになるため、債務が膨らんでいきかねない契約です。

そうした根保証契約に極度額の定めがないと、保証人が予想もしなかった額を支払わなければならない事態にもなり(主債務者の不履行が続けば債務がどんどん膨らんでいくことも起こります)、保証人に極めて酷な結果となりえます。

そこで、個人の根保証契約の場合には極度額を定めなければ無効との改正がなされました。
保証人が支払いの責任を負う上限金額を定めることが必要とされ、責任に限定がなされました。


次に、公証人による保証意思確認の手続きが新設されたことも大きな改正点です。

個人が事業用融資の保証人になろうとする場合について,公証人による保証意思確認の手続が新設されました。

公証人の面前で、自ら保証意思があることを述べることが必要とされました。
公証人から、保証人になった場合のリスクの説明を受け、リスクを理解したうえで、保証に同意するかの確認がされます。

この手続を経ないでした保証契約は無効とされます。

ただし、この手続きは、事業に関与していない親戚や友人が安易に保証人になることがないようにと想定しているので、対象となる人は限られます。

次のような場合は除かれます。
1 主債務者が法人である場合
法人の理事,取締役,執行役や,議決権の過半数を有する株主等
2 主債務者が個人である場合
主債務者と共同して事業を行っている共同事業者や、主債務者の事業に現に従事している主債務者の配偶者